仕事人

社会にはいろいろな仕事があるよ。気になる仕事や仕事人をたくさん見つけよう!

北海道に関連のある仕事人
1971年 生まれ 出身地 北海道

堤(つつみ) 啓(あきら)
子供の頃の夢: 漫画家 昆虫学者、画家
クラブ活動(中学校): 剣道部
仕事内容
用途に合わせた直感的で分かりやすい地図づくり
自己紹介
携帯電話(けいたいでんわ)が不必要(ふひつよう)な頭(あたま)の硬(かた)い古(ふる)い人間(にんげん)。来(きた)る人こばまず,去る人追(ひとお)わず。理想像(りそうぞう)は宮沢賢治(みやざわけんじ)「雨ニモマケズ」。
出身大学・専門学校
北海道東海大学 芸術工学部 デザイン科  

※このページに書いてある内容は取材日(2016年04月26日)時点のものです

使(つか)う人の目線(めせん)で作(つく)りこむ地図(ちず)デザイン

使う人の目線で作りこむ地図デザイン

私(わたし)は,おもに官公庁(かんこうちょう)から依頼(いらい)された地図(ちず)や事業(じぎょう)を説明(せつめい)するパンフレット,自社(じしゃ)で販売(はんばい)するポスターやグッズなどをつくっています。地図(ちず)は,たくさんの人が使(つか)いますから,色合(いろあ)いであるとか線(せん)の太(ふと)さであるとか,さまざまな配慮(はいりょ)が必要(ひつよう)になります。そこで,どんな人にも分(わ)かりやすく伝(つた)えるために地図(ちず)をデザインするのが私(わたし)の仕事(しごと)です。例(たと)えば観光(かんこう)パンフレットに使(つか)う地図(ちず)は名所(めいしょ)を分(わ)かりやすく示(しめ)すために,目印(めじるし)となる地名(ちめい)や建物以外(たてものいがい)の情報(じょうほう)を省略(しょうりゃく)したり,上空から斜(なな)めに見下ろして高低差(こうていさ)が一目で分(わ)かる鳥瞰図(ちょうかんず)という地図(ちず)を作(つく)ったりします。同(おな)じ作業(さぎょう)をしている人は社内(しゃない)で8名ほどです。

直感的(ちょっかんてき)で分(わ)かりやすい地図(ちず)づくり

直感的で分かりやすい地図づくり

私(わたし)は,課長(かちょう)という立場(たちば)ですから,チーム全体(ぜんたい)の仕事(しごと)の流(なが)れを見渡(みわた)し,滞(とどこお)りなく仕事(しごと)を進(すす)んでいるかを確認(かくにん)しています。地図(ちず)のデザインは各自(かくじ)が責任(せきにん)を持(も)って仕事(しごと)をしていますので,担当者(たんとうしゃ)の力量(りきりょう)やセンスも重要(じゅうよう)です。地図(ちず)の規模(きぼ)にもよりますが,何人(なんにん)かで作業(さぎょう)するもこともあり,メインのデザイナーを決(き)め,お客様(きゃくさま)からの要望(ようぼう)を聞(き)きながら地図(ちず)の見せ方(ほう)を検討(けんとう)して制作(せいさく)します。地図(ちず)では縮尺(しゅくしゃく)という概念(がいねん)は重要(じゅうよう)なのですが,地図(ちず)をデザインするという仕事(しごと)では,地図(ちず)の正確(せいかく)さよりも,いかに見た人が直感的(ちょっかんてき)に距離感(きょりかん)や地形(ちけい)の雰囲気(ふんいき)を把握(はあく)できるかということが重要(じゅうよう)です。できる限(かぎ)り感覚的(かんかくてき)に分(わ)かりやすい地図(ちず)を作(つく)るようにしています。もちろん,私自身(わたしじしん)も地図(ちず)づくりを担当(たんとう)しています。仕事量(しごとりょう)ですが,年間(ねんかん)では12月から3月あたりが一番忙(いちばんいそが)しく,昼間(ひるま)はチーム全体(ぜんたい)の仕事(しごと)をして,夜(よる)9時(じ)から自分(じぶん)が担当(たんとう)する地図(ちず)の作業(さぎょう)を始(はじ)めるということもありますね。

地図(ちず)づくりには終(お)わりがない

地図づくりには終わりがない

地図(ちず)をデザインするという作業(さぎょう)は無数(むすう)に近(ちか)い工程(こうてい)があります。例(たと)えば道路(どうろ)や河川(かせん)の太(ふと)さの調整(ちょうせい),色(いろ)づかい,地名(ちめい)などの文字の形(かたち)の種類(しゅるい)や大きさの調整(ちょうせい)など数(かぞ)え上げればきりがありません。さらに地図(ちず)だけではなく,地図(ちず)を囲(かこ)む外側(そとがわ)のレイアウトデザインの調整(ちょうせい)や,観光(かんこう)マップであれば観光地(かんこうち)の写真(しゃしん)を入れたりすることも行(おこな)います。ときにはカメラを持(も)って撮影(さつえい)や調査(ちょうさ)に行(い)くこともありますよ。そのため,一つの地図(ちず)を作(つく)りこもうと思(おも)えば,とことんまで作(つく)りこんで,さらに作(つく)り続(つづ)けることができます。しかし,次(つぎ)の地図(ちず)をつくるスケジュールもありますから,終(お)わらせないといけませんよね。お客(きゃく)さんに制作(せいさく)した地図(ちず)を納(おさ)める期限(きげん)がありますから,印刷(いんさつ)するスケジュールも考(かんが)えて仕事(しごと)を進(すす)めるようにしています。作(つく)りこみのバランスというのは経験(けいけん)を積(つ)んで初(はじ)めて分(わ)かることなのです。

あれが「お父(とう)さんの地図(ちず)!」と子どもが喜(よろこ)ぶ

あれが「お父さんの地図!」と子どもが喜ぶ

子どもと一緒(いっしょ)にいるときに,自分(じぶん)の作(つく)った地図(ちず)が街中(まちじゅう)に掲示(けいじ)されているのを発見(はっけん)すると,「お父(とう)さんの地図(ちず)!」と喜(よろこ)んでくれます。また,地図(ちず)を手にしたお客(きゃく)さんから内容(ないよう)について評価(ひょうか)されるとうれしいです。
地図作(ちずつく)りは非常(ひじょう)に手間(てま)のかかる作業(さぎょう)で,作(つく)り始(はじ)めはどうすれば完成(かんせい)するのか途方(とほう)にくれることがあります。しかし,手を入れ始(はじ)めるとだんだん形(かたち)になっていき,全体(ぜんたい)の形(かたち)が見え始(はじ)め,自分(じぶん)の中で思(おも)い描(えが)いた表現(ひょうげん)になったとき,あきらめずに作業(さぎょう)を続(つづ)けて良(よ)かったと思(おも)います。
特(とく)に鳥瞰図(ちょうかんず)は,上空から斜(なな)めに見下ろした地図(ちず)ですから,遠(とお)くまで見えるわけです。平面(へいめん)の地図(ちず)では,真上(まうえ)から見下ろしていますから,描(えが)く範囲(はんい)が決(き)まっていますよね。一方(いっぽう),鳥瞰図(ちょうかんず)はややもすれば,日本の半分(はんぶん)ほど見えてしまうことになります。東京(とうきょう)の鳥瞰図(ちょうかんず)を作(つく)るとなれば,手前(てまえ)に東京(とうきょう)の道路網(どうろもう)を描(えが)き,その先に東北(とうほく),北海道(ほっかいどう)まで見えて,どこまで編集(へんしゅう)すれば良(よ)いのか気の遠(とお)くなる作業(さぎょう)になります。それをバランス良(よ)く,思(おも)い描(えが)いたように表現(ひょうげん)して作成(さくせい)することは,地図(ちず)デザインの醍醐味(だいごみ)ですね。

地図(ちず)デザインは,切(き)れるような表現(ひょうげん)

地図デザインは,切れるような表現

難(むずか)しい表現(ひょうげん)かもしれませんが,「触(さわ)ると切(き)れるような表現(ひょうげん)」というのを目標(もくひょう)としています。これは相手(あいて)を傷(きず)つけるという意味(いみ)ではなく,一切(いっさい)の妥協(だきょう)を排(はい)したつけ入る隙(すき)のない表現(ひょうげん)という意味(いみ)で,文字の大きさ,間隔(かんかく),線(せん)の太(ふと)さ,色(いろ)づかい,レイアウト,全(すべ)てがバランスよく整(ととの)っていて,もう調整(ちょうせい)する必要(ひつよう)のない表現(ひょうげん)です。情報量(じょうほうりょう)が多(おお)く,無数(むすう)にデザインする部分(ぶぶん)の多(おお)い地図(ちず)においてはほとんど不可能(ふかのう)なことなのですが,だからこそバランスが重要(じゅうよう)になり,基本(きほん)が大切(たいせつ)になります。基本(きほん)がしっかりできていれば,柔(やわ)らかいデザイン,楽(たの)しいデザインも自由(じゆう)に作(つく)れると思(おも)います。
デザインは形(かたち)から入ると思(おも)われがちですが,基本(きほん)が分(わ)かっていないと表現(ひょうげん)の幅(はば)も無(な)くなります。
実際(じっさい)のところ,私(わたし)は「触(さわ)ると切(き)れるような表現(ひょうげん)」をまだまだ実現(じつげん)できない部分(ぶぶん)もあるのですが,常(つね)に心掛(こころが)けてデザインをしています。

デザインをすることの先に地図(ちず)もある

デザインをすることの先に地図もある

特(とく)に地図(ちず)のデザイナーを目指(めざ)していたわけではありません。たまたま絵(え)を描(えが)くのが好(す)きで,近(ちか)くの学校の試験(しけん)が絵(え)を描(えが)く試験(しけん)で,たまたま受(う)かって,今(いま)の会社(かいしゃ)を受(う)けてみないかと言(い)われて受(う)かり,そしてたまたまずっと絵(え)を描(えが)いている感(かん)じです。地図(ちず)を制作(せいさく)しているとは思(おも)っていません。たまたま地図(ちず)を作(つく)ることが多(おお)いだけだと思(おも)っています。勤(つと)めているのは地図(ちず)の会社(かいしゃ)ですから,私(わたし)のような人は他(ほか)にいないと思(おも)います。しかし,私(わたし)の場合(ばあい)は,絵(え)を描(えが)いたり何(なに)かをデザインしたりするのが好(す)きでしたから,その延長(えんちょう)で地図(ちず)も考(かんが)えています。デザインすることでしたら,車でもオリンピックのマークもそして地図(ちず)であっても根本(こんぽん)は同(おな)じだと考(かんが)えています。

子どものころから大好(だいす)きだった絵(え)の世界(せかい)

子どものころから大好きだった絵の世界

小学生のころは昆虫(こんちゅう)などの生き物(もの)が好(す)きで常(つね)に野山(のやま)にいました。そのため,家(いえ)の中は虫の入っている水槽(すいそう)だらけでした。中学から高校(こうこう)にかけては剣道部(けんどうぶ)に入り,道場(どうじょう)にも通(かよ)っていました。一方(いっぽう)で,私(わたし)は帰宅(きたく)するとひたすらマンガばかり描(えが)いていました。人並(ひとな)みに塾(じゅく)にも通(かよ)っていましたが,プリントやノートの裏にマンガを描(えが)いていたことしか記憶(きおく)にありません。
それだけ描(えが)いていると周(まわ)りの人に絵(え)が得意(とくい)だということが知(し)れ渡(わた)ってしまうのです。友人(ゆうじん)からはゲームのキャラクターを描(えが)いてくれとか,クラスの女子からはアイドルの似顔絵(にがおえ)をせがまれたり,授業(じゅぎょう)で先生に挿絵(さしえ)を頼(たの)まれたり。そんなときに忘(わす)れもしない出来事(できごと)がありました。高校三年(こうこうさんねん)の高体連剣道(こうたいれんけんどう)の大会(たいかい)が終(お)わり,さあ部活(ぶかつ)も引退(いんたい)だと思(おも)っていた矢先(やさき),美術部(びじゅつぶ)の先生から高文連(こうぶんれん)の美術展(びじゅつてん)に作品(さくひん)を出しなさいと言(い)われ,そのまま美術部(びじゅつぶ)デビューしたのです。高文連(こうぶんれん)に出展(しゅってん)したことは大学の入試時(にゅうしじ)にも有利(ゆうり)だったのではないかと思(おも)っています。その先生とは今(いま)でもおつき合(あ)いさせていただいています。こうして人との縁も絵(え)でつながっていくのです。不思議(ふしぎ)なものですね。

物事(ものごと)は続(つづ)けることで,視野(しや)も広(ひろ)がる

物事は続けることで,視野も広がる

私(わたし)は,勉強(べんきょう)に関(かん)してはアドバイスできるほどではありませんが,親(おや)の言(い)うことはいやでも聞(き)いてください。なぜなら,親(おや)は皆(みな)さん以上(いじょう)に人生の経験(けいけん)があり,今(いま)は必要(ひつよう)ないことかもしれないけど,将来役(しょうらいやく)に立つことを知(し)って助言(じょげん)しているのだから。そして,それ以上(いじょう)に好(す)きなことがあれば親(おや)に隠(かく)れてでも続(つづ)けたら良(よ)いと思(おも)います。何(なに)よりも続(つづ)けることは,とても重要(じゅうよう)です。続(つづ)けていけば,自分(じぶん)でできることが次々(つぎつぎ)と増(ふ)えていきます。少(すこ)しずつでも焦(あせ)らずに続(つづ)けてください。ただし,一つだけを見ないで。絵(え)でも音楽(おんがく)でもなんでも良(よ)いけど,好(す)きなアニメやアイドルソングだけではなく,ピカソにゴッホに岡本太郎(おかもとたろう)とか,童謡(どうよう)にビートルズとか,興味(きょうみ)の幅(はば)をどんどん広(ひろ)げてください。いろんな世界(せかい)があることが分(わ)かれば,自分(じぶん)の可能性(かのうせい)も広(ひろ)がっていきますよ。

ファンすべてを見る

(新潟県 中2)
(兵庫県 小6)
(茨城県 小4)
(東京都 小4)
(宮城県 中1)
(静岡県 小6)
※ファン登録時の学年を表示しています

私のおすすめ本

手塚治虫
天才外科医ブラックジャックの目を通し,生きとし生けるものの尊厳や生死について問題定義する手塚治虫の代表作。
取材・原稿作成:取材・原稿作成:東京書籍株式会社